出版寺子屋 本を出す方法

このブログでは、本を出す方法を、 丁寧にお伝えします。 商業出版で本を出すことを目指します。 また、 「誰でも本を書ける」 「誰でも本を出せる」的な無責任な言葉で、 高額な出版プロデュースに 誘導するようなこともいたしません。 このブログは、 そのような怪しさとは一切無縁です。 そのことは、ハッキリとお約束します。

うんこ漢字ドリルの、水野敬也さんからウケる方法を学ぶ

 

ウケる本を書かなければ二冊目は出ない。  

 

本を書こうと思っているあなたに届けたい、とても大切な心構えが1つあります。

 

それは2冊目の本を書く。

ということを意識して1冊目を書くということです。

 

「1冊目も出ていないのに、なぜ2冊目なのか?」

 

あなたはとても不思議に思うはずです。

 

でもこのことをわかっていれば、1冊目の本がより出しやすくなります。

急がば回れです。

 

実は。

せっかく1冊目の本を出しても、その1冊目の売れ行きが悪いと、その作者は売れない作者であると言う評価が決定してしまうのです。

 

出版社リンダパブリッシャーズの新保社長は、

「売れない本は犯罪である」とさえいっています。

 

そのぐらい、本が売れないということは、問題視されるのです。

 

そうなると、もう二度と使われる事は無いのです。

 

一生懸命、次回作を書いて持ち込みをしたとしても、門前払いとなります。

 

その理由です。

 

本が何冊売れたかという情報は、すべての出版社がガラス張りで知ることができます。

 

だから、デビュー作が売れなかった出版社以外なら、二作目を採用してもらえるかもしれないと、他の出版社に行ってもムダなのです。

 

だから。

「この本は10万部売れているベストセラーです」

 

とハッタリを言っても全て見破られてしまうからです。

 

だから、デビュー作はなんとしてもヒットさせなければならないのです

 

思い出作りのために、1冊だけ出せればいいと思うのなら別ですが、もしプロの作家として本を書き続けたいのなら、このことは絶対に肝に銘じておくべきです。

 

 

 

 

とにかくデビュー作はヒットさせよう

 

逆にもし、デビュー作がベストセラーとなれば、出版社の方から

本を出しませんかと依頼がどんどんやってきます。

 

私がデビュー作の企画立案し、作家デビューのプロデュースをさせていただいた、サラリーマンの方がいます。

 

彼のデビュー作はヒットしました。

そのおかげで、彼には、それ以降、続々と執筆依頼が舞い込み、今ではすっかり売れっ子作家となっています。

 

彼も、デビュー作のヒットがなければ今の自分はありえないと言っています。

 

100人の人が1冊目を出し、作家デビューしたとします。

 

その中で2冊目を出せるのは、おそらく10人程度です。

 

さらに3冊4冊と書き続けて行くことができる人は、その中の、1人か2人です。

 

だからあなたにも、デビュー作ではヒット作を目指して欲しいのです。

 

これが。

2冊目の本を書く。

ということを意識して1冊目を書くという理由です。

 

 

ウケる本を書くのにはどうしたらいいのか。

 

では、ベストセラーを出すためには、どうしたらいいのでしょうか?

 

私は、ベストセラーを連発している、水野敬也さんに注目することをお勧めします。

 

同業者ながら、彼には学ぶべきところがたくさんあります。

素晴らしい作家です。

そして、それ以上に、素晴らしい出版プロデューサーです。

 

彼は、どうしたらウケる本が書けるのかを、徹底的に追求しています。

なにしろ、

「ウケる技術」という、マニュアル本をだしているぐらいです。

 

水野敬也さんの作品。

あなたも、このタイトルは知っているのではないでしょうか?

 

ミリオンセラーになった

「夢をかなえる像」

さらには

「人生はニャンとかなる」です。

 

その他にも、無数のヒット作を連発しています。

 

最近の大ヒットは、

『うんこ漢字ドリル』です。

 

なんと1年生用から、6年生用までの6冊が軒並みアマゾン総合の、ベスト10位に入っているんです。

 

ベストセラーを1冊出すことは、奇跡的なことです。

 

それを同時に6冊も出しているのです。

 

音楽にたとえれば、音楽のベストヒットチャート、ベストテンの半分以上が同じ歌手の曲で占められているようなものです

 

それほどの快挙です。

 

『うんこ漢字ドリル』が生まれた、ひらめきとアイデアの出し方は、かなり高度なので、今回は控えます。

というか、正直、この部分は、努力だけでは習得できない面があります。

才能に関わることなので、誰にでも再現できることではないからです。

 

今回は、誰にもすぐ使える、もっと大事なことを、お伝えします。

 

そのために、水野敬也さんをお手本にしました。

 

 

本を出す前に必ず実行すべきこと。

 

それは、本を出す前にこれを必ず実行することです。

 

『あなたの書いた、完成原稿を、信頼できるたくさんの人に見てもらう』

と言うことです。

 

これは聞くと何でもないことのようですが、実はとても難しいことです。

 

特に本を書こうとする人たちにとっては、とても難しいことです。

 

だからほとんどの人たちが、これをやっていません。

 

プロの作家でも、完成した原稿を編集社以外の人に見せる人は、とても少ないはずです。

 

その理由です。

ものを書く人には、ある種の高いプライドがあります。

(もちろん、そうでない人もいますが、例外は稀です)

 

良い言い方をすれば、その人なりの作品の書き方への美学があります。

 

悪く言えば、独りよがりなこだわりがあります。

 

だから、作家は、得てして、とても気難しいところがあります。

 

その気持ちはとてもよくわかります。

 

自分の書いた原稿は自分自身です。

自分の分身です。

 

それを他人からあれこれ評価されるのは、とても怖いのです。

不愉快なのです。

 

褒めてくれるのならまだしも……。

 

面白がってくれない、それだけで、がっかりしてしまいます。

 

さらには、面白くないと言われたり、けなされたりしたら、むっとします。

 

ここを直した方がいいよと言われたりしたら、気を悪くするはずです。

 

言葉には出さなくても顔色には必ず出ているはずです。

 

私は漫画家としても、文筆家としても、ずいぶん長い間仕事をしています。

だからそれがよくわかります。

 

また、逆の立場から、漫画家やイラストレーターさんたちを使って、たくさんの健康関係の漫画をディレクションしたことがあります。

 

さらに、現在は、企画のたまご屋さんの出版プロデューサーとして、たくさんの書き手の方を担当しています。

 

だからその両方の立場が、痛いほどよくわかります。

 

特に作家のプライドと傷つきやすさ、そのことについては嫌と言うほどよく知っています。

 

知っていると言うよりも経験しています。

 

作家の気持ちがよくわかる。

 

さらに編集者の気持ちもよくわかる。

 

その両方を体験していることが、私の出版プロデューサーとしての強みだと、自己分析しています。

 

というわけで、

私は、あなたが一生懸命長い時間をかけて書き上げた原稿を、人に見せることには、抵抗がある。

 

単純に、恥ずかしいという場合もあります。

 

いずれにせよ、躊躇することはとてもよくわかります。

 

それでも、原稿は自分以外の人に、目を通してもらったほうが絶対に良いのです。

 

 

 

 

傷つくことを覚悟し、色々な人に見てもらおう。

 

傷つくことを覚悟し、色々な人に見てもらうべきです。

 

水野敬也さんは、そのことについてこのような意味のことを述べています。

 

本の原稿と言うものは、完成品である書籍とほとんど変わりのないものができます。

 

これは本と言うものの、とても有利な特徴です。

 

だから、完成した原稿読んでもらうと言う事は、出版された本を読んでもらうことと、ほとんど同じ印象を感じてもらうことができるのです。

 

つまり出版する前に、事前にモニタリングしてもらえるのです。

 

その本のイマイチの部分がわかり、こうしたらもっと面白くなると言うヒントを得ることができるのです。

 

何人の人に見てもらい、何人かのフィルターを通すのです。

 

ムッとしたり、反発したりの、気持ちがでることもあります。

それでも、その意見を使うか、使わないかはさておき、それを耳に入れることは大切です。

 

そのたびに、謙虚に、書き直しをするのです。

 

水野敬也さんは1冊の本を書くたびに、このモニタリングのやり方を使って、

10冊分の本を出せるほどの、分量の書き直しをしているといいます。

 

自分には特別な才能は無いかもしれないが、日本一書き直している作家であると言うことが自慢できると言っています。

 

書き直して何度も試作品が作れる、これはものすごく注目すべきところです。

 

そして、このことに気づいた水野さんは、とてもすばらしい着眼点の持ち主だと思います。

 

さらにそれを実行していることを尊敬します。

 

原稿何度も書き直することが、どんなに素晴らしい利点なのか。

 

それをわかりやすく説明します。

 

もし、これが映画だったどうでしょうか?

 

映画を撮り終え、その作品を試写会にかける。

 

アンケートをとると、評判が芳しくないので映画を取り直すことにな。

 

そうなると莫大経費が発生します。

 

ハリウッド映画なら、おそらく10億円単位のお金が必要なると思います。

 

もし10回、映画を撮り直せば、100億円かかります。

 

ところが本の場合、書き直す場合、労力と時間はかかりますが、お金はゼロで書き直すことができるんです。

 

これは本の素晴らしい利点です。

 

だから自分の書いた原稿は、必ず人にモニタリングしてもらうべきです。

 

そして、何度も、何度も書き直し、磨きあげるべきです。

 

勘違いしやすいのは、

「私は何度も書き直している」と言う人の場合です。

 

自分の目だけで見て、何度も、何度も、書き直すのと、人にモニタリングしてもらって書き直しするのは、結果が全く違います。

 

天と地ほど違います。

 

自分の目だけで見ての書き直しは、堂々巡りになっている場合が多いのです。

自分以外の視点からの意見は、その堂々巡りの壁を壊してくれる場合があります。

 

 

というわけで、完成原稿は必ず何人かの人にモニタリングして、もらうことをお勧めします。

 

 

出版される本の企画 もう一つの方法

 

今回は、ちょっと変則的ですが、

出版される本の企画についてお話します。

 

出版社に企画を採用してもらう一つの手として、

『買い取りシステム』というものがあります。

 

このことについて、詳しくお伝えします。

 

 

『買い取りシステム』

 

これは、その企画を本にした場合、

ビジネスとして、成り立つか、それとも成り立たないか、

ギリギリの企画の場合に、よく使われるシステムです。

 

具体的に言えば、

その本を7000册出版すると仮定した場合。

そのうちから、

1000册ぐらいを、事前に著者が買い取ってもらえば、

なんとか、ビジネスとして成立する。

 

そこで、著者が事前に、1000册ぐらいを買い取りますよと約束してくれれば、

出版社としては、

ギリギリ、ビジネスになりうるので、その企画を採用しましょうという、

システムです。

 

もちろん、『買い取りシステム』なしで、企画が採用されるのがいちばんです。

そして、ほとんどの場合は、『買い取りシステム』の条件なしで採用されます。

 

『買い取りシステム』の場合数十万円のお金がかかるので、かんがえものです。

それでも、

採用、不採用、ギリギリのラインにいる人には、ある意味ありがたいシステムです。

 

 

 

 

本は生もの

 

では、『買い取りシステム』について、詳しくお話します。

 

例えば本を7000部刷ったとしても、

完売する本は滅多にありません。

 

ほとんどの本は、売れ残りが出ます。

 

ケーキに例えれば、

7000個ケーキを作っても、

生ものなので、賞味期限が過ぎたら、

売れ残りは、すべて廃棄することになります。

 

ケーキは、その売れ残りを折り込み、

定価を算出しています。

 

回転寿司も、廃棄するお寿司の料金も含め、

一皿の値段を算出しています。

 

本もまったくそれと同じです。

本も、賞味期限のある生ものです。

 

その賞味期限は、ほぼひと月です。

その間に売れない本は、書店から出版社に突き返されます。

そして、すべて裁断されてしまいます。

 

それらの、廃棄ロスも見込んで、

この本はビジネスとして成立するか、

綿密な計算と予測の上、

 

その企画を採用するか、しないかを出版社は決定します。

 

『買い取りシステム』を提案される場合、

 

この条件なら、ギリギリビジネスとして成立すると判断しています。

 

7000部刷る、ひと月で売れるのは、いままでの、

経験やデータから、4000部位と推測される、

すると、売れ残りは3000部。

廃棄ロスとしては多過ぎる。

これでは赤字になる。

 

そんなとき、著者が700部買い取りましょうかと約束してくれたら。

 

それなら、少なくとも、売れ残りは、

3000部から700部引いた、2300部で押さえられるかもしれない。

 

廃棄ロス2300部も織り込んで、

印刷代、著者への印税、編集者の人件費、営業費、広告費、等々、

全てを計算すると、何とかいけるとなり、

始めて、営業会議で、この企画を採用して、出版してもOKと決断がくだされます。

 

だから『買い取りシステム』の契約を結ぶことにより、

ほんらいは、見送られる企画が、

かろうじて、採用されることがあります。

 

 

 

何冊位買い取るのか。

 

著者が何冊買い取るかは、その企画のできにより、

微妙な差が出てきます。

企画の内容が良ければ、数百冊でも可能です。

著者が、どうしても本を出したいとなれば、

2000册でも買い取る人はいます。

 

私のこれまでの出版プロデュース経験では、

事前に数百部から1000册買い取ると、事前に企画書に書いてきた人を何人も担当しました。

 

とはいえ、たとえ事前に2000册買い取ると、企画書に書いても、

その企画のレベルが低ければ、出版社から採用されることはあり得ません。

 

『買い取りシステム』は、あくまでも、ビジネスモードにのれるかのれないか、

ギリギリのラインの企画の場合に、出版社から提案されるケースです。

 

もし、出版社から、700部を買い取ってもらえるのなら、採用しますと提案された場合、

「そのような買い取り契約は結べません」と回答すれば、

当然、企画は採用されません。

 

ボツとなります。

 

だから、『買い取りシステム』を提案された場合、

それを受けるか受けないかは、著者の自由です。

 

では、具体的に700部を買い取る『買い取りシステム』で成約

した場合どうなるのか、お話します。

 

たとえば、7000部印刷されたとします。

 

著者は、700部買い取るので、

その料金を出版社に支払います。

 

それを、出版社が確認すると、

 

700部の本が段ボールに詰められて、著者の家に宅急便で送られてきます。

 

のこりの、6300部は、出版社が担当して販売経路に乗せます。

 

著者が買い取った、700部は、著者がそれを自分でさばくことになります。

友人知人に、買ってもらう。

親しい人にプレゼントする。

講演会で売る。

広告の材料とする。

 

使い方は自由です。

 

とにかく700部は、せっかく買い取ったのですから、

ムダにならないように、

著者の工夫で色々なことに利用すべきです。

こまめに、売りさばくべきです。

 

なお、700部の料金。

実は、定価が1000円だとしたら、

一冊、700円~800円の支払いですみます。

 

もし、本屋さんで700部を買えば、

1000円×700部だと、

70万円かかります。

 

ところが、『買い取りシステム』の場合だと、

800円で買い取るとしたら、

800円×700部なので、

56万円で買えることになります。

 

 

ちなみに、

70万円と56万円の差額は、14万円。

 

著者が自分で買い取った700部を

定価の1000円で、全て売れば、

14万円の売り上げになります。