出版寺子屋 本を出す方法

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創造的な手抜きをしよう。

 

 

こんにちは、

のんびり出版プロデューサーの、

おかのきんやです。

 

きょうは、手抜きについて

ということについてお話しさせていただきます。

お役に立てば幸いです。

 

 

「なるべく動かすな、

止まっている絵を

動いているように見せろ。

手を抜け、ミスを修正するな。

同じ絵を何百回も使え。

手抜きがバレそうになったら、

タマには凝れ」

 

手塚治虫が、初めて、

アニメ

白黒版、

『鉄腕アトム』

 を作った時、

スタッフに指示した言葉。

 

 

 

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(^-^)ノ【手抜きを極める】

 

 日本で初の、国産アニメ『鉄腕アトム』

昭和38年(1963)の

元旦から放送が始まりました。

 

当時の日本のアニメ関係者たちは、

そんなことは絶対に不可能だと思っていました。

しかし、天才、手塚治虫は、

その不可能の壁をぶち壊してしまったのです。

その壁をぶち壊した秘密兵器・・・。

なんと「徹底的な手抜き」でした。

 

 

(^-^)ノ【手抜き伝説】

 

 

当時、1週間に、1本、

ディズニーなみのアニメを作るのは

不可能でした。

 

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可能なのは、

アトムの口だけをパクパクさせて、

いかにも動いているように錯覚させる、

簡易式の方法しかありませんでした。

 

ディズニー式のアニメを、

フルアニメといいます。

簡易アニメは、

リミテッドアニメといいます。

 

ちなみに、30分のアニメの場合、

フルアニメだと、最低、

3万6千枚の絵が必要になります。

ところが、リミテッドアニメなら、

計算すると、2千枚でも大丈夫だったのです。

 

手塚先生、

 

動きで勝負できないのなら、

徹底したストーリーの

面白さで勝負しよう!

 

という戦略を立てました。

 

実際には、なんと

1200枚の絵で間に合わせました。

 

では、実際にどのような

手抜きがおこなわれたのでしょうか。

 

(^-^)ノ手抜き伝説1.

 

「アトムが驚いている

カットを描いてください」と、

手塚先生に指示されたアニメーター、

かがんでいるアトムが、

シャンとなる動きで、

それを描こうとした。

 

ところが、手塚先生からクレーム。

「アトムは動かなくて、

いいの、1秒半そのままね」

 

「動きを表すのが、

アニメーターなのに、

それじゃまるで動きがありません。

 では、アトムの顔に、

汗が一粒流れ落ちる、

という表現にします」

 

「汗も、動かなくていいんです」

 

それは、まったく動きのない、

只の紙芝居の1枚のような

シーンになってしまった。

 

しかし、

アトムが驚いているという効果は、

しっかりと出ていた。

 

 

(^-^)ノ手抜き伝説2.

 

50人の群衆が逃げまどうシーンを、

動画で描くことになる。

50人の人を描き、さらに、

それを全員動かすのには、

ものすごい制作時間がかかる。

 

それを、手塚治虫は、

通常の1/100ぐらいの時間で作り上げた。

 

その方法は、こうだ。

50人の人間が逃げまどう絵を、

紙芝居のように、4枚描かせた。

それをめちゃくちゃに、

交互に差し替えて撮影した。

 

「こんなの動きっこないよ」と

アニメーターたちは思っていた。

ところが、試写してみると、

なんと50人が、

右往左往しながら逃げ惑うように

見え驚愕した。

 

宮崎駿氏の最後の作品ともいえる

「風立ちぬ」で、

関東大震災の中、

大群衆が逃げ惑うシーンがある。

このシーンを作るためには、

膨大な時間、莫大な費用がかかった。

 

ところが若き日の手塚治虫は、

たった四枚の静止画で、

それと同じ効果を出したのだ。

 

(^-^)ノ手抜き伝説3.

 

手塚治虫は、

新しく描く絵を節約するために、

同じ絵を何度も使い回すシステムを作った。

 

たとえば、アトムの顔なら、

泣く、笑う、驚くの表情を使い回す。

 

アトムの体なら、

大写し、全身、遠景の体を使い回す。

 

シーンなら、

自然現象の雨、風、雪、波、

 

さらに爆発シーンなどを使い回す。

 

これらを分類し、

すぐに取り出して使えるようにした。

絵の銀行のようなものなので、

バンクシステムと名付けた。

 

そして、手抜きの総まとめが、

冒頭の手塚先生の、この言葉です。

 

「なるべく動かすな、

止まっている絵を

動いているように見せろ。

手を抜け、ミスを修正するな。

同じ絵を何百回も使え。

手抜きがバレそうになったら、

タマには凝れ」

 

「タマには凝れ」というところが、

曲者ですね(笑)

 

 

 

(^-^)ノ【創造的な手抜き

 

「クリエーターが、

完璧を目指さなくて

どうするんですか!」

 

そう、後輩漫画家たちを、

鼓舞していた手塚先生。

 

それなのに、

その言葉に反する「手抜き」に、

手を染めたのはなぜでしょうか?

 

その目的は、日本にアニメ文化を

根付かせることでした。

当時、アメリカ製のテレビ向けアニメは、

毎週、何本も放送されていました。

 

ところが、日本製のアニメは

1本もありませんでした。

だから、どんな手段を使っても

成功させなければならなかったのです。

 

当時、

ふつうのテレビドラマの製作費は、

50万円程度でした。

 

放送局は、『鉄腕アトム』1本の製作費として、

150万円という破格のギャラを提示しました。

 

「それではだめです」と、

手塚先生その金額を拒否。

 

次の言葉に、テレビ関係者たち驚愕します。

 

「もっと安くしましょう!

ふつうのテレビ映画より、

アニメだけ飛び離れて高くては、

スポンサーが離れてしまいます。

外国製のアニメの値段との

バランスもあります」

 

けっきょく、

『鉄腕アトム』の製作費は

55万円と決まりました。

 

もし、150万円で引き受けていたら、

手抜きをする必要はありませんでした。

でも、その道を歩んでいたら、

日本は、

現在のようなアニメ大国には

なっていなかったはずです。

 

「手抜き」は、

アニメ界に革命をもたらした、

パイオニアの決断だったのです。

 

怠けるための、

「手抜き」では

なかったのです。

「創造的な手抜き」

だったのです。

 

「創造的な手抜き」これ、使えます!

 

里中満智子先生は、これを、

 「センスのいい手抜き」

 という言葉を使っていました。

 

私は漫画家でもあったので、

ある時期、短期間でしたが、

里中さんの

ところで、アシスタントを

させていただいたことがあります。

 

アシスタントをしながら、

里中さんがエースだった、

『週間少女フレンド』という

雑誌で、ひっそりと

ギャグ漫画を連載していました。

 

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あなたの仕事や生活の中で、

「創造的な手抜き」をできること、

ありませんか?

「センスのいい手抜き」を

できるところ、ありませんか?

 

「手抜き」のデパートのような、

アニメ『鉄腕アトム』

手塚先生、その中で、

絶対に「手抜き」しない一点がありました。

 

それは・・・アニメに対する、

 

「情熱!」。

 

でした。

 

 

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いかがでしょうか。

きっと、みなさんの、クリエイティブな部分が

触発されたのではないでしょうか。

 

それでは、また、お会いしましょう。

さよなら(^-^)ノさよなら(^-^)ノ